・キーワード
kintone / 横展開 / RPA連携 / 基幹連携 / 工数削減
株式会社バンダイ
株式会社BANDAI SPIRITS
・業務内容
〈 バンダイナムコグループ 〉
日本が世界に誇るアニメ・マンガ・ゲームなどの「IP」の魅力を生かし、ガシャポン・カードゲーム・玩具・菓子・プラモデル・フィギュア・一番くじなどの商品や家庭用ゲーム・ネットワークコンテンツなどの企画・開発・販売、映像・音楽の企画・制作・運用、アミューズメント施設の運営など、多彩な事業領域を展開するエンターテインメント企業グループ事業。
〈 バンダイ カード事業部 〉
卓上で遊ぶ「トレーディングカードゲーム」、デジタルの筐体で遊ぶ「データカードダス」、集めて楽しい「コレクションカード」、パソコンやスマートフォンなどで楽しむ「デジタルカード」の4つのカテゴリーを軸に遊びの創出に取り組む。
〈BANDAI SPIRITS ロト・イノベーション事業部〉
コンビニエンスストアや書店、ホビーショップ、ドラッグストア、一番くじ公式ショップ、一番くじONLINEサイトなどで、お客さまにくじを引く楽しさと、当たる感動を提供するハズレなしのキャラクターくじ「一番くじ」をメインに展開。
右から 株式会社バンダイ カード事業部 事業戦略チーム 渡部様
株式会社BANDAI SPIRITS ロト・イノベーション事業部
WEB・事業戦略チーム 渡邉様
※本ページの掲載内容は導入当時の情報となります
株式会社バンダイ様のカード事業部では、部内向けのWeb経費表システムに課題があり、リプレイスを検討していた。Web経費表システムとは、どの部門でも使う必須業務であり、予算管理と経費入力を行うための経費管理システムである。
また全部門利用の共通基盤である基幹システム(以下基幹システム①)とデータを連携する必要があった。
Web経費表と基幹システム①の間にデータ連携の仕組みはなかったので、Web経費表の情報を手動で基幹システム①に入力するという二重入力の手間が発生していた。その結果として、入力工数の負荷はもちろん、手入力によるケアレスミスも多く見受けられていた。
過去にはその負担を軽減するために、カード事業部内でRPAを使う方法を試みたが、その際にはうまく実現できずに断念した経緯もあった。
また、Web経費表を作成する際には、もう一つの基幹システム(以下基幹システム②)に登録されている品目マスタの情報を元に作成するが、基幹システム②のデータ連携がされていなかったため、品目マスタを手動でエクスポートし、その後手動でWeb経費表システムにインポートをする手間も発生していた。
これらの課題を解決するために、既に導入されていたkintoneを用いてリプレイスを検討・提案することとした。
「商品の展開エリア拡大により生じていた管理の複雑化の解消と、予実管理の見える化を目指し、kintoneを導入しました。
(コムチュアを選定した理由については)サイボウズ様にご紹介いただき、基幹システムとの連携なども他社実績で知見があり、スムーズに開発を進められそうと感じたためです。」
「まずはカード事業部での導入を検討し始めました。当時は、事業拡大に伴い非常に業務が煩雑化していました。商品の品質の管理、受発注、生産スケジュールや諸経費の管理などをユニットごとに Excel 等で行っていて、全体を一元管理することが困難な状況となっていました。」(バンダイ 渡部様)
既存Web経費表から基幹システム①への二重入力をRPA製品のAutomation Anywhereを利用することでデータ登録の自動化を実現。また、基幹システム②からのデータ連携はJavaプログラムでの開発によりkintoneへの一方通行の連携を実現。
ユーザーがWeb経費表を登録する際に迷わないように、ポータルトップの画面にタブ切替のカスタマイズを実装。
Web経費表を選択することで、使うべきアプリを視覚的に配置。また登録の際にアイコンにカーソルを当てると説明文が表示されるようにして、ユーザーが作業を進めやすくなるようにシステムでサポート。
「WEB 経費表をリプレイスするにあたり、重要な機能は 2 点です。従来の経費システムから kintone への移行だけでは、大きな効果は期待できないため、社内の処理が完結できる範囲まで開発を行い、業務の効率化を目指しました。1 つ目の機能は、社内の基幹システムと連携するため、kintone 側と基幹システム側の情報を揃え、情報連携を行う開発を実施しました。2 つ目の機能は、kintone に入力した情報を基幹システム側に入力する二度手間を避けるため、RPA を活用し半自動化を行う開発を行いました。これらの機能がリプレイスにおける重要な機能でした。」(バンダイ 渡部様)
また、当時バンダイで業務を担当していた渡邊様(現 BANDAI SPRITS)は、以下の通りプロジェクトを振り返る。
kintone へのリプレイスにあたり、最大の障壁となったのは、従来のシステムからの変更を社内に浸透させることでした。社内の理解を深めるために、以下の点に意識して取り組みました。
・現状よりも業務が短縮される具体的な提案を提示
・現場で実際にシステムを触ってもらいながら進行
・実際の画面のイメージを常に共有
・将来的に様々な業務の簡易化が可能であるイメージを徹底して伝える
これらの取り組みにより、社内では実際に業務が楽になるというイメージを持ってもらい、スムーズに導入を進めることができました。kintoneはシステムを作り込むことなく、簡単にUIなどのイメージを修正できるため、スムーズに進行ができました。
kintoneでの入力補助や各システムへのデータ連携の仕組みを実装したことで、二重登録やデータの出し入れにかかっていた手間を削減。業務負荷を大幅に軽減し、業務効率化を実現した。
RPAによる自動化や、java開発等、既存資産を活用したデータ連携方式を提案・実装することで、連携に係る費用の圧縮を実現。(※データ連携の際にETLツールも選択肢になるが、イニシャルコストがかかるケースが多いため)
開発の際には他部門への横展開もしやすいようなシステム開発を実現することで、他事業部への展開も容易に。
結果として新たな部門でのシステム構築の際に工数削減にも寄与。
カード事業部では、現在8業務でkintoneを活用しており、kintoneは「なくてはならないツール」となっている。
また、一つの業務から複数業務への拡張は、「小さく始めて、大きく育てる」というkintoneのコンセプトを体現した好事例でもある。
Web 経費表アプリが横展開されたことをきっかけに、他部門やグループ会社で kintone が周知され、kintone利用が拡大。その展開を実現させた要因の一つに、渡部様や渡邉様が kintone の利便性を知ることでファンになっていただき、新たに異動した部門や出向先でkintone を広めていただけたことも大きな要因である。
実際、渡邉様が現在所属するグループ会社の一つである BANDAI SPIRITS 様でも Web 経費表に同様の課題があり、まずはロト・イノベーション事業部とプライズ事業部を対象にカード事業部の Web 経費表アプリテンプレートを横展開することとなった。Web 経費表に留まらず、今後は様々な kintone アプリへの業務置き換えも検討しており、今後も kintone 利用は加速が予想される。
「リプレイス前は、経費処理の作業は10名ほどで行っていましたが、RPAの導入により1~2名に減少しました。経費処理に関する工数が大幅に削減されたことで、よりクリエイティブな業務に時間を割くことができるようになりました。」(バンダイ 渡部様)
「バンダイ カード事業部、BANDAI SPIRITS ロト・イノベーション事業部の他にも複数の部署でのkintone導入がどんどん進んでいます。システムや業務改善業務の知見がない部署も多くありますので、一部門の機能としてではなく、改善を行った知見を他部門へ展開するなど、今後もご協力いただけますと嬉しいです。」(バンダイ 渡部様)
「経費管理の他に、製品生産に関わる情報、マニュアル、会議資料の保存など、現在はアナログで運用を行っているものを全てkintoneで一元管理できるような環境を構築できるように、さらに邁進していければと思っています。」(BANDAI SPIRITS 渡邉様)